おばけのソッチ、おねえちゃんになりたい!/角野栄子、佐々木洋子
ひとり読み入門におすすめの「小さなおばけシリーズ(アッチコッチソッチ)」から、おばけのソッチの比較的新しい作品「おばけのソッチ、おねえちゃんになりたい!」をご紹介します。きょうだいが生まれるお子さんへのプレゼントにもおすすめです。
手に取ったきっかけ
アッチのお話をいくつか読んでから、もうすっかり小さなおばけシリーズの世界に入り込んでいる年中さんのために、図書館で借りました。
今まではアッチのお話しか読んだことがなかったのですが、可愛らしい表紙を見て期待が膨らんだようで「早く読みたい!」と読む気満々で借りて来ました。
どのような位置付けの本か
「小さなおばけシリーズ(アッチコッチソッチ)」は、ひとり読みをはじめたばかりのお子さんにぴったりの児童書シリーズです。
- 対象年齢:「自分で読むなら5歳から」
- 文字の大きさ:約8mm
- 挿絵:すべての見開きに挿絵入り
- わかち書き
と、こどもが読みやすいように工夫して書かれています。
お母さん、お父さんがこどもの頃から続く人気シリーズなので「内容が古くて、こどもには説明が必要だな…」と感じるものもありますが、本作は2014年刊行の比較的新しい作品です。(表紙にキラキラの箔押し加工のある作品は、2010年以降に出版された、比較的新しい作品です。)
「小さなおばけシリーズ(アッチコッチソッチ)」の他の作品についてはこちらをご覧ください。
どのようなお話か
あめやさんに住むおばけのソッチ。おともだちが弟を連れているところを見て、自分にも弟が欲しいと思います。のらねこボンの提案で、ねずみのチとキが弟になってくれることに。
かいがいしく弟たちのお世話をするソッチですが、チとキは「ぼくたち、おとうとだから、いっぱいいたずらしてもいいんだよ。」といたずらばかり。ソッチはぐっと我慢してお世話を続けましたが、チとキがあめやさんの商品にまでいたずらをしたので、とうとう「おとうとなんていらないぞび〜!」と怒鳴ってしまいます。
ところが、チとキがいらずら描きしたあめが、意外にもお客さんに好評なことに気づきます。そこでソッチは、チとキのあめを「いたずらっこあめ」と名付けて商品化することに。
チとキに「またあめにおえかきしてね」と頼むと、「ソッチがぼくたちのいもうとになれば、かいてあげてもいいよ。」とのこと。ソッチは1日だけチとキの妹になり、妹になるのも素敵だと思いました。
年中さんが自分で読んだ様子
こどもの目でみた年齢の上下関係をよく表しているようで、ソッチに親近感を持って読み終えたようです。一方で、チとキがいたずらをするシーンで大興奮してゲラゲラ笑っていました。
意気揚々と読み始めたのですが、疲れていたのか、途中で「お母さん読んで〜」となってしまったので、ソッチのセリフだけ読ませるようにして読み終えました。
ソッチがおねえちゃんとしての責任感を発揮するところは、園で「もうすぐ年長さんだからお手本になりましょう」と言われていることと近い体験に感じられたようです。
特に気に入って大笑いしていたのは、チとキが「ぼくたち、おとうとだから、いっぱいいたずらしてもいいんだよ。」と、わざとおねしょをして「おふとんでおしっこするのって、おもしろいね。」と言うシーンでした。お布団を洗うソッチがかわいそうなのですが、チとキの発想が斜め上すぎて笑ってしまいます。
この本に限らず、子どもにとって、いたずらのシーンはワクワクするようですね。
この本を与えて親が感じたこと
うちの子はひとりっ子なので、きょうだいがいることは未知のことがらなのですが、自分なりに理解しているようでした。園で毎日異年齢保育の時間もあるので、想像しやすかったのかもしれません。
おねえちゃんがただ我慢するお話ではなく、機転を利かせて最後に活躍するお話なので、きょうだいが生まれるお子さんにこの本をプレゼントするのも良いと思います。
この本は、年中さんの1〜3月に読みました。その頃読んだ他の本はこちらにまとめています。