こぶたくん/ジーン・バン・ルーワン、アーノルド・ローベル、三木卓
5歳くらいのこぶたの男の子が主人公の絵本です。小さなお子さんが身近に感じられるお話なので、読み聞かせでもひとり読みでもおすすめです。
手にとったきっかけ
以前に入会していた童話館ぶっくくらぶで届いた本です。
こぶたくんとその家族の短いお話が5編おさめられています。
小さなおばけシリーズなどと比較すると文字が小さかったので、ひばり(年長さん)に与える前に一度読み聞かせてみたところ、お話をたいへん気に入り、その後は繰り返し自分で読んでいます。
どのような位置付けの本か
1文字は約5mm程度で、小さなおばけシリーズ(約8mm)よりも小さいのですが、分かち書きされていることから、レベルとしては同じくらいの「ひとり読み入門レベル」だと感じました。
ひとつひとつのお話が短いので、まだ集中力がそれほど保たないお子さんにはとくにおすすめです。
「本」や「花」などには振り仮名がありますが、漢数字には振り仮名がないので、その点はご注意ください。
どのようなお話か
こぶたくんが妹にヤキモチを焼いたり、お母さんをわざと困らせてみたり、泊まりにきたおばあちゃんをもてなしたり、お父さんとかくれんぼをして遊んだりといった、こぶたくんと家族との関わりの様子がユーモアを交えて描かれています。
すべて家の中のお話で、とくに劇的な何かが起きるわけではないのですが、大人が読むと「幼少期の家族との思い出ってこういうものだよね」と暖かい気持ちになります。
年長さんが自分で読んだ様子
こぶたくんや妹になりきってノリノリで読んでいました。
こぶたくんは5歳、妹のアマンダは2〜3歳くらいかと思いますので、年中さんから年長さんくらいで読むとちょうど良いお話だと思います。
ひばりが特に気に入っているのは、こぶたくんが悪ふざけをして、ミトンを手ではなく耳にはめるシーンです。ライトなクレヨンしんちゃんレベルで悪ふざけをするのが面白いようでした。
この本を与えて親が感じたこと
前述した悪ふざけのシーンのあと、あまりに自由なこぶたくんと妹にふりまわされたお母さんは、心が折れて泣いてしまいます。衝撃的な展開ですが、実際に親業をやっていると、誰しもがこのように我が子のままならなさに泣きたくなることがあるのではないでしょうか。
しかしながら、日本の絵本ではあまり表現されない部分であるように思います。とくに母親の感情は透明化されがちですよね。
もともとは米国の作品のようですが、こども向けの絵本に「親の感情も無視しないで描く」という姿勢があることに感心し、こどもがこの本を読むことには意義があると感じました。
試しに「こぶたくんのお母さんがどうして泣いちゃったのかわかる?」とひばりに聞いてみたところ、「こぶたくんがふざけるから」とかえってきたので、こどもなりに理解はできるようです。
続編「しりたがりやのこぶたくん」では、こぶたくんのお母さんは「ひとりになりたい」と言い出します。これもまた驚きの展開で面白いので、また今度記事にしますね。