行間の記録

ひとり読みに挑戦中の年長さん「ひばり」と、活字中毒の母「くるみ」の読書の記録。

おとな読書-小説

不完全な人間が生命を賭して求めるものは? - クララとお日さま/カズオ・イシグロ、土屋政雄

人間を人間たらしめているものは何かということを、AF(子守用アンドロイド)のクララの目線から、病弱な少女ジョジー、ジョジーの両親、ジョジーの幼なじみの少年リックらの行動を通して語った作品です。 クララとお日さま/カズオ・イシグロ、土屋政雄 読書…

思い出を力に道を切り拓いた少女の物語 - ルーパートのいた夏/ヒラリー・マッカイ、冨永星

第一次世界大戦前後のイギリスを舞台に、主人公の少女クラリーと、兄ピーター、いとこのルーパート、友人のヴァネッサとサイモンの姉弟が大人になっていく様子を描いたイギリスの青春小説です。 戦争がひとつのテーマとなっている作品ですが、戦場の描写はあ…

女性差別、貧富の差、不平等に少女はNoを突きつけた - 囚われのアマル/アイシャ・サイード

現代パキスタンを舞台とした児童文学です。根強い女性差別や封建制による不平等が12歳の少女アマルの目線で描かれています。 囚われのアマル/アイシャ・サイード 概要 感想 概要 「マララ・ユスフザイさんに勇気付けられた」という著者が、世界中で不平等に…

50年前に思いを馳せる - モモ/ミヒャエル・エンデ

1973年に発表されてから、世界中で読み継がれているミヒャエル・エンデの「モモ」。2020年代に読んでみると…。 モモ (岩波少年文庫) 作者:ミヒャエル・エンデ,大島 かおり 発売日: 2017/07/20 メディア: Kindle版

孤独な少女が苦難を受け入れるために必要だったものは - スーパー・ノヴァ/ニコール・パンティルイーキス

ノヴァとブリジットは仲の良い姉妹。ずっと2人一緒に里親の元を転々としながら暮らして来ました。ところがある日、姉ブリジットがいなくなってしまいます。ひとりぼっちで新しい里親のもとに送られるノヴァ。自閉症の少女ノヴァの成長を描きながら、ブリジッ…

貧困を利用したナチが家族を引き裂いた - ベルリン 1933 壁を背にして/ クラウス・コルドン

コルドンのベルリン3部作の2作目。1932年から1933年、ナチが第一党となり、ヒトラーが首相に任命され、ドイツ国会議事堂放火事件が起きるまでの様子を、ナチに抵抗する家族の目線で描いた小説です。 ベルリン 1933 壁を背にして/クラウス・コルドン 1作目「…

誰もが心の中に持つ差別とどう戦うか - キャラメル色のわたし/シャロン・M・ドレイパー

11歳のイザベラの目を通して、現代のこどもたちを取り巻く諸問題と、それを乗り越えて行くこどもたちの強さが描かれた名作。小学校高学年のお子さんから、おとなにもにおすすめの1冊です。 キャラメル色のわたし/シャロン・M・ドレイパー

ナチは正しいと信じていた - 若い兵士のとき/ハンス・ペーター・リヒター

ナチ政権下ドイツの回想録。ナチの教育を受け、それが正しいと思って育った著者が、17歳で志願・入隊し、20歳で終戦を迎えるまでのことが綴られています。 若い兵士のとき (改版) (岩波少年文庫) 作者:ハンス・ペーター・リヒター 発売日: 2005/07/16 メディ…

美しい思い出すらナチの計画の中にあった - ぼくたちもそこにいた/ハンス・ペーター・リヒター

誰にでもある、少年時代の輝く思い出の日々。仲間と笑ったり泣いたり、夢に向かって努力したり。それすらもナチの非道に組み込まれていたとしたら…。 ぼくたちもそこにいた (岩波少年文庫) 作者:ハンス・ペーター リヒター 発売日: 2004/08/19 メディア: 単…

ナチの時代、こどもですら傍観者ではいられなかった - あのころはフリードリヒがいた/ハンス・ペーター・リヒター

著者ハンス・ペーター・リヒターの、ヒトラー政権下の経験を記した、”リヒターの自伝的3部作”のうちの1作めです。大人として、こどもたちの未来にどのように責任を持つべきかを考えさせられる作品です。 あのころはフリードリヒがいた (岩波少年文庫 (520)) …

分断と貧困の中でも希望を抱く家族の物語 - ベルリン 1919 赤い水平/ クラウス・コルドン

図書館で借りた本だったのですが、あまりに良い本だと思ったので「いつか我が子にも読んで欲しいな」と思って、購入して書棚に入れました。 概要 ベルリンに住む労働者階級ゲープハルト一家の目線で描く、第一次大戦終結(ドイツ革命)から第二次大戦集結ま…