行間の記録

ひとり読みに挑戦中の年長さん「ひばり」と、活字中毒の母「くるみ」の読書の記録。

オバケちゃん ねこによろしく/松谷みよ子、いとうひろし

今回は絵本作家としてもおなじみの、松谷みよ子さんの「オバケちゃんの本」シリーズから、「オバケちゃん ねこによろしく」をご紹介します。

こども向けのオバケのお話ということで、角野栄子さんの「小さなおばけシリーズ(アッチコッチソッチ)」と混同されがちですが、こちらは森に住んでいるオバケちゃんのお話です。

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オバケちゃん ねこによろしく/松谷みよ子いとうひろし

手に取ったきっかけ

Eテレの「てれび絵本」で取り上げられていたのを見て、うちの子が気に入っているようだったので、図書館で借りました。ちょっとなまいきな「オバケちゃん」のキャラクターが魅力的なようです。

「てれび絵本」は、本の挿絵がそのままアニメーションになって動く、童話の読み聞かせ番組です。うちの子と「オバケちゃんの本」シリーズとの出会いは、この「てれび絵本」で放送された「オバケちゃんとおこりんぼママ」でした。

「おこりんぼママ」の放送が終了してからも、「おばけちゃんといそがしおばさん」「おばけちゃんとむわむわむう」の放送があったので、短期間ですっかり「オバケちゃん」に魅了されてしまいました。その後、図書館に行った際に本作「オバケちゃん ねこによろしく」が面陳列されていたのをみつけて、試しに借りてみることにしました。

どのような位置付けの本か

オバケちゃんの本シリーズ の対象年齢は「小学1・2年生から」となっていますが、本作「オバケちゃん ねこによろしく」は、シリーズの中では難しい作品です。

オバケちゃんシリーズの中で、お話の長さ別に以下の3つに分類されています。

  • みじかいお話
  • ちょっとながいお話
  • ながいお話

みじかいお話

文字は大きめ(7mm程度)。全ての見開きに挿絵が入っています。70〜80ページ程度。小さなおばけシリーズ(アッチコッチソッチシリーズ)と同じくらいの難易度です。

  • オバケちゃんとむわむわむう (69ページ)
  • オバケちゃんとおこりんぼママ (77ページ)
  • オバケちゃんといそがしおばさん (85ページ)
  • オバケちゃんアカオニにあう
  • オバケちゃんとはしるおばあさん (69ページ)

ちょっとながいお話

文字は中くらい(6mm程度)。たまに文字だけのページがありますが、ほとんど全ての見開きに挿絵が入っています。80〜90ページ程度。

  • オバケちゃん学校へいく(93ページ)
  • 学校おばけのおひっこし

ながいお話

文字は小さめ(5mm程度)。数ページおきに挿絵が入っています。お話は100ページを超えます。文字が小さい上にページ数も多いので、難易度は高めです。ノラネコぐんだんの読み物シリーズより難しいように感じました。

  • オバケちゃん
  • オバケちゃん ねこによろしく

どのようなお話か

いつも「ぼく、オバケちゃんです。ねこによろしく。」と挨拶しているオバケちゃん。白猫のホワイに、なぜ「ねこによろしく」と言うのかと問われて、自分のことなのに理由がわかりません。なぜ「ねこによろしく」と言うのだろう。

オバケちゃんが不思議に思っていると、オバケちゃんの家に、これから旅に出るベレおじさんがあいさつにきました。ベレおじさんは「旅に出るともうひとりの自分に会える」と言います。自分も旅に出たら「ねこによろしく」の理由がわかるかもしれない。オバケちゃんは、ベレおじさんの荷物にこっそり隠れて旅に出ることに。白猫のホワイも一緒です。

道中で不思議な猫の話を聞き、ホワイは猫のことがわかって満足そう。でも、オバケちゃんはもうひとりの自分と出会えないまま、旅は終わりに近づいてきました。帰りの汽車に揺られていると、突然急停車します。汽車が土砂崩れに遭い、トンネルに閉じ込められてしまったのです。

汽車が土砂崩れに遭ったことを知らせるために、オバケちゃんは東奔西走します。そしてオバケちゃんは、オバケになる前のことを思い出し…。

年中さんが自分で読んだ様子

はっきり言って難しすぎました。お話が長いことに加え、「もうひとりの自分に会う」というテーマも年中さんにはまだ難しかったと思います。

「てれび絵本」で放送されていたものは、すべて「みじかいお話」の作品だったのですが、それに気づかずオバケちゃんの絵を目にして「ながいお話」を借りてしまったのが失敗でした。とにかく長くて疲れてしまい、最後の方は「お母さん読んで〜」となってしまいました。

「旅に出て、色々な出会いがあり、事故に遭い、オバケちゃんが奮闘して解決する」という大筋は理解していたようですが、方言のような言葉や古い言い回しについてはよくわからなかったようです。80年代に執筆された作品なので、時代性のハードルもあるように感じました。

この本を与えて親が感じたこと

「文字の大きさ、挿絵の多さでレベルを確認してから与えなければならない」と深く胸に刻みました。

難しすぎるものを与えてしまい、かわいそうなことをしてしまいました。

お話自体はとても良いお話で、長く読み継がれていることがよくわかる作品でした。お話が「オバケちゃんがオバケになる前」に展開していくとは思わなかったので、親の方が泣きそうになってしまいました。大人になってもこの物語を大切にしている方が多くいらっしゃることも頷けます。

「もうひとりの自分に会う」というテーマについて理解できるのは早くても小学3・4年生くらいではないかと思うので、またその頃に手に取れたら良いと思います。

「オバケちゃん」のことは気に入っているようなので、次は「みじかいお話」で再挑戦する予定です。

オバケちゃん ねこによろしく (オバケちゃんの本2)

オバケちゃん ねこによろしく (オバケちゃんの本2)

 

この本は、年中さんの1〜3月に読みました。その頃読んだ他の本はこちらにまとめています。 

gyoukan-diary.hatenablog.com