かいけつゾロリのめいたんていとうじょう/原ゆたか
アニメでもおなじみ、かいけつゾロリ。図書館では「人気のシリーズ」という棚に入っています。児童書初心者の年中さんが読んでみた様子をお伝えします。
手に取ったきっかけ
児童書にチャンレンジするにあたり、アニメで知っている「かいけつゾロリ」シリーズならお話の世界に入りやすいのではないかと思い、図書館で借りてみました。
私はゾロリについてよく知らなかったので、子どもに「これがゾロリで、イノシシがイシシとノシシだよ。泥棒なんだよ。」と教わりました。
どのような位置付けの本か
絵本から児童書(読み物)へ進むお子さんをターゲットとしている本です。しかしながら、文字の大きさやフォントがたびたび変わる点には注意が必要です。
版元のポプラ社によると、対象年齢は6歳〜小学3年生となっており、「児童読み物」の入門的位置付けの本です。
挿絵は全ページにあります…というより、絵の中に文が入っているといったほうが良いかもしれません。途中でマンガのようになるところもあり、お話に親しみやすい構成になっています。
この、途中でマンガになるところがこのシリーズの特徴なのですが、この仕掛けによって、文字の大きさやフォントが本の中でたびたび変わります。本文は縦書きなのですが、絵やマンガの中で突然横書きの文字列が現れることもあります。この点が、お子さんによっては読書のハードルになってしまうかもしれません。
本文は7mm程度の教科書体です。マンガになっている部分は4〜5mm程度で、地の文が教科書体、吹き出しの中がゴシック体です。挿絵とマンガの部分に手書きの文字もあります。手書き文字は美文字ではありませんが、丁寧に書かれています。
文はすべてわかち書きされています。
どのようなお話か
温泉旅行に出かけたゾロリ、イシシ、ノシシ。温泉宿の大浴場に「黄金のライオン」というお宝があると知り、宿泊中に盗もうとたくらみます。ところが、何者かに先にお宝を盗まれてしまいます。ゾロリは名探偵になって犯人をさがしますが…。
年中さんが自分で読んだ様子
最後まで自分で読み終え、内容もよく理解していましたが、文字に関する面で負荷がかかっている様子が見て取れました。こどもが自力で読み終えるには「読むことが楽しい」「ゾロリのキャラクターや世界が好き」という動機が必要だと思いました。
アニメでゾロリの世界に親しんでいるので、自ら進んで読み終えました。内容もよく理解できていました。
しかしながら、以下の点で読みにくさがあったようです。
- 文字が小さくなると読みにくい(文字が小さいよ〜と不満を言う)
- マンガの部分でどこから読んで良いかわからない(親がここからだよと示す必要あり)
- 縦書きと横書きが混在していてわずらわしい(縦書きを左から読んでしまう)
慣れてしまえば難なくできることかもしれませんが、1ページに含まれる情報量が多いので、一度にたくさんのページを読み進めるのは疲れるように思いました。
それでも最後までどんどん読めたのは、読んでいて楽しいと感じていたからだと思います。
この本を与えて親が感じたこと
かいけつゾロリシリーズは読み聞かせには向いていないと思いました。
「ゾロリのキャラクターや世界が好き」なお子さんが、「ひとり読みができるようになったら」チャレンジする本という位置付けが良いと思いました。
一方で、読み書きが得意でないお子さんには非常に読みづらいシリーズなのではないかと思いました。
物語文のようで途中でマンガになったり、謎解きの部分では立て札を読んだりもしないといけないので、ゾロリシリーズは読み聞かせには向いていません。ひとり読みができるようになってから与えるのが良いと思いました。
よく知っているキャラクターが出てくるお話は、子どもとしてはキャラクターと一緒に本の世界を冒険できるようで心強いようです。
その一方で、文字のフォントや大きさ、縦書き横書きが入り乱れているので、読み書きが得意ではないお子さんには非常に読みづらいのではないでしょうか。私自身も「疲れているときは読みたくないな…」と思いました。
「ゾロリが好きだから」といきなり与えるのではなく、まずは他の本を与えてみて、ひとり読みの様子を見てから与えるのが良さそうです。
この本は、年中さんの1〜3月に読みました。その頃読んだ他の本はこちらにまとめています。