おこさまランチがにげだした/角野栄子、佐々木洋子
「魔女の宅急便」の原作者である角野栄子さんの「小さなおばけシリーズ」(おばけのアッチコッチソッチ)の中の1冊です。私が子どもの頃(1980年代)からずっと続いているシリーズで、アニメ化もされたので「知ってる!」と思われる方も多いのでは。
文字が大きめ、漢字少なめ、挿絵がふんだん、わかち書きであることから、小学校1〜2年生をターゲットとしています。今のところ、うちの子の読む本を選ぶときは「小さなおばけシリーズ」のレベルを基準として読めるかどうかを判断しています。
本作はレストランひばりでコックさんをしている、おばけのアッチが主人公。「レストランに魔法が使えるおばけのコックさんがいる」と聞きつけた少年ターくんが、アッチに会いたいがために「僕の魔法で大変なことが起きたので助けてほしい」と電話をかけてきます。
ターくんは人間の男の子なので、魔法が使えるわけがありません。アッチは嘘だと知りつつ、ターくんの家を訪ねます。ターくんは病弱で一日をベッドで過ごしているようだと察したアッチは、ターくんの言った嘘「おこさまランチが窓から逃げ出したので捕まえてきて欲しい」という話に乗り、特製のおこさまランチを作ってプレゼントします。
ターくんは嘘から誠が出て驚きますが、アッチの作ったおこさまランチを食べてどんどん元気になります。おこさまランチはレストランひばりの新メニューになりました。
…というお話です。先に触れたように、児童書の入門シリーズともいうべき読みやすい本なので、うちの子もスイスイ音読して、特に淀むこともなく3日くらいで読み終えました。ところが、「ターくんが嘘をついている」ということが見抜けなかったようで、内容の理解はイマイチでした。「人の気をひくために嘘をつく、つかれた」という経験がまだないようです。確かに、思い返してみてもまだ私にも嘘をついたことはありません。
「嘘をつく」というのは子どもの発達段階として必ず通るプロセスなので、そのうちこのお話も理解できるようになるのでしょうが、「文字が読めるからと言って内容を理解しているとは限らない」「その子の発達段階に合った作品選び」ということを考えさせられました。
本作は少し内容が背伸びとなってしまいましたが、アッチのことは気に入ったようなので、シリーズの他作品も読んで行こうと思います。コロナが落ち着いたら、だいすけお兄さんの「おばけのアッチ リーディングミュージカル」にも連れて行ってあげたいです。
小さなおばけシリーズの他の本についてはこちらをどうぞ!
この本は、年中さんの1〜3月に読みました。その頃読んだ他の本はこちらにまとめています。