行間の記録

ひとり読みに挑戦中の年長さん「ひばり」と、活字中毒の母「くるみ」の読書の記録。

オバケちゃんとおこりんぼママ/松谷みよ子、いとうひろし

松谷みよ子さんの「オバケちゃんの本」シリーズから、親子でいっしょに読むのにおすすめな「オバケちゃんとおこりんぼママ」をご紹介します。

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オバケちゃんとおこりんぼママ/松谷みよ子いとうひろし

手に取ったきっかけ

うちの子が、オバケちゃんのことを気に入っているので図書館で借りました。前回は「オバケちゃんの本」シリーズのなかでも難しい作品を借りてしまい、読み終わるのに苦労したので、今回は易しい作品の本作にしました。

前回、同じ「オバケちゃんの本」シリーズの「オバケちゃん ねこによろしく」を図書館で借りてみたのですが、シリーズのなかでも難しい作品だったようで、年中さんにはレベルが高すぎました。それでもオバケちゃんに興味があるようだったので、シリーズの中で易しめのこの本をリベンジとして借りました。

もともとオバケちゃんに興味を持ったのは、Eテレの「てれび絵本」で本作が取り上げられていたのを見てのことだったので、今回こそは最後まで楽しく読めるのでは無いかと思います。

前回「オバケちゃん ねこによろしく」を読んだ時の様子はこちらからご覧いただけます。

どのような位置付けの本か

「オバケちゃんの本」シリーズの対象年齢は「小学1・2年生から」となっていますが、本作「オバケちゃんとおこりんぼママ」は、シリーズの中では易しい作品です。

「オバケちゃんの本」シリーズは、お話の長さ別に以下の3つに分類されています。

  • みじかいお話
  • ちょっとながいお話
  • ながいお話

お話が長くなるほど文字も小さくなり、挿絵も減るため、難易度が高くなります。「オバケちゃんとおこりんぼママ」は、この中の「みじかいお話」に属しており、シリーズのなかでは易しい作品ですす。

「みじかいお話」は、文字は大きめ(7mm程度)。全ての見開きに挿絵が入っています。お話の長さは80ページ程度。本作「おばけちゃんとおこりんぼママ」は77ページです。小さなおばけシリーズ(アッチコッチソッチシリーズ)と同じくらいの難易度と言えるでしょう。

どのようなお話か

大好きだけど、時々おこりんぼになって、がみがみ声で怒鳴るママ。ある夜ママにしかられたオバケちゃんは、拗ねて森の外に遊びに行きます。するとどこからか優しいママのような音が聞こえます。その音は、小さな女の子のアカネちゃんが弾くオルガンの音でした。

「ママのこえはね、こういうの。」アカネちゃんはオルガンで「ブー」という音を出します。「でもねえ、アカネちゃん、こういうこえでおはなししてほしいの。」オルガンは「プー」と高く澄んで優しい音を出しました。「やさしい音だね。ぼくだってママに、そういうこれでおはなししてほしいとおもうよ。」

オバケちゃんとアカネちゃんがママのことを考えていると、アカネちゃんのママが現れます。「まあ、アカネちゃん、だめじゃないの。」ガミガミガミ…。アカネちゃんは「ママ。やさしいこえでおはなししてよう」と泣き出してしまいます。

たまらなくなったオバケちゃんが、アカネちゃんのママに挨拶をすると、ママはオバケに驚いて、アカネちゃんを抱えて部屋から出て行ってしまいました。

誰もいなくなった部屋でオルガンを弾くオバケちゃん。オルガンの優しい音をたくさん食べて、糸にしてママにプレゼントすることを思いつきました。

数日後、オバケちゃんのママがその糸で編み物をしていると、優しいオルガンの音が「プー」と聞こえてきました。「ママ、それはね、ママがやさしいときのこえなんだよ。ママ、いつもそういうこえでおはなししてね!」

年中さんが自分で読んだ様子

かなりサクサクと滑らかに読み進んで行きました。「この本も30分くらいで読み終わるかな」と思っていたのですが、ママが主題のお話だからか、「お母さん読んで〜」と途中から甘えん坊モードに。途中からは、オバケちゃんのセリフのところだけ本人が読み、あとは私が読むことにしました。

園の発表会で劇をやったこともあり、セリフを読むのは面白かったようです。感情を込めて読んでいたので、ちゃんと状況や、オバケちゃんの心情を理解しているんだなあと感じました。

この本を読んだ後で「優しい声でお話ししてって、オバケちゃんが言ってたね。」と言い出すなど、お話も印象に残ったようです。

この本を与えて親が感じたこと

本の難易度としてはひとり読み初心者に最適だと思いますが、お話の内容としては、親子で一緒に読むのに適したお話だと感じました。ぜひ、読み聞かせや、見守りながらのひとり読みで、親子で一緒にお話の世界を楽しんでみてください。

 

現代では「無闇に怒鳴っても、こどもは萎縮するだけで、教育的効果が低いどころか悪影響がある」ということがわかってきていますが、叱られている時にこどものほうから「大きい声出さないで」と親に伝えるのは難しいことだと思います。この本の「優しい声でお話しして」というフレーズを親子で共有できていると、親子ともに良い影響があると思いました。

参考:子どもを叱るときにしてはいけない6つの約束 | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

 

ママに頼まれた家事のお手伝いを、オバケちゃんが「どうかんがえても、女の子のしごとだよ。」というところはいただけませんが、その点を除けば「読んで良かったな」と思えるお話でした。(本書は1991年刊行ということなので、多少は目を瞑らざるを得ないですね。)

 

オバケちゃんとおこりんぼママ (オバケちゃんの本4)
 

gyoukan-diary.hatenablog.com

この本は、年中さんの1〜3月に読みました。その頃読んだ他の本はこちらにまとめています。 

gyoukan-diary.hatenablog.com